【研究開発の仕事は人との関わりで成り立っている】
私は研究開発の仕事をしている。基本的な業務としては大学で研究していることとは変わらない。実験を行ってデータをとり、その知見をもとに新たな発見をする、あるいは新製品を生み出すといった流れになると思う。研究室にいた人はイメージしやすいかもしれないが、大学の研究では教授の目指すべき方向があり、そこに向かって分担した研究を担当する。大学の研究なので教授の興味という部分で目的はなかったり、あっても建前だけといった場合もある。会社の研究では教授の興味が利益というものに置き換わり、そこに向かって製品化であったりソリューション提供を行うことを目指す。そういった違いがあるため純粋な基礎研究は会社でやるのはかなり難しく、やっているところは多くはないだろう。私の会社でもほとんど基礎研究を行っておらず、応用研究、製品化研究の部分をやっているのである意味研究職というよりかは開発職に近いようなものなのかもしれない。そもそも研究と開発が製薬メーカーみたいに言葉としてきっちり分かれていないような気がする。ただ最近は便利な言葉があり、研究開発職とひとまとめにしている企業もある。まぁこのような違いは実際に仕事をしている中でそこまで気にならないが、一番大きな違いというのは関わる人が異常に多くなるということだ。事業部であったり、品質管理の部署、生産技術の部署などはもちろんのこと、特許関連だったり、物流関係など様々な人と関わりながら仕事をしなければならない。製品として顧客に売って、さらに競争力を維持するためにはこれらの仕事が必要でこの辺りは学生の研究とは違う。ただいいように言えばある程度仕事が分業化されているので自分ですべてをやる必要がある。大学の研究で思わぬ結果が出て、分野外の知識のない部分や実験をしなければならない際にも基本的には自分の力で全てやらなければならない。仕事であればその問題がお金につながると判断されれば、ほかの専門家に投げても問題はない。そのような状況であるから、自分の得意とする分野をしっかりと構築し、足りない部分に関しては他の人の手を借りるというのが会社で仕事を進めていく上で大切なことなのだろうと思った。
